巷で言われている医学部入試の問題について
2018.12.09
医学部の入試に不平等な点があるという報道がなされています。問題点はおおかた出尽くしたようです。

1. 男子を女子より優先している
2. 多浪生を排除している
3. コネ合格がある
4. 寄付金による合格がある

ただ、これらは医学部の入試に限ったことでしょうか?私は他の学部のことは知りませんが、おそらく行われているでしょう。

男子より女子を優先して合格させる

これは当然のことです。医師として働くことになった場合のことを考えればわかります。妊娠・子育てをするとなると当然仕事に穴が空きます。そのためには医師を多く雇わなければなりませんが、今の医療機関はそんなに儲かりませんから、無理な話です。当然休んでいない医師がより大きな負担をしなければなりません。

そういうことがなくても病院での医師の当直は32時間連続勤務が普通で、当直した分の代休はありません。私が若いときは平日の当直以外によく土日当直をしていました。土曜の17時に大学病院の勤務が終わると民間の病院にすぐに行って月曜の朝まで仕事。そして直ちに翌週の勤務が始まるのです。

事情を知らない人は「看護師も深夜働いてるじゃないか」と言いますが、看護師はそのぶん休めるのです。医師と違って時間交代制であり、週40時間労働となっています。

多浪生を排除している

これは大学によって違います。いまはどうかわかりませんが、群馬大学は多浪を合格させない大学として受験生の間では有名でした(もちろん国立です)。医学部を受験して、不合格となり訴訟を起こした女性がいたはずですが、そういうことを知らずに受験したとすれば、明らかにこの女性のミスです。そういう人は多浪生でも受け入れる帝京大学のようなところを目指すべきでした。実際、銀座で弁護士事務所を開設していた50代の男性が、帝京だったかどうかは忘れましたが、首都圏の私立医大に合格しています。

あまり多浪になると国試の合格率が下がると聞いたことがありますが、私は確たるデータを持っていません。私が学んだ医学部ではそういう印象はありませんでした。国試についてはむしろ途中で病気になってしまう人のほうが問題だと考えます。

コネ合格がある

当然あります。その理由は「変な学生を入れないため」です。たとえば入学してきた学生の家族が暴力団だったりしたらどうでしょうか?問題が起こってからでは遅いでしょう。

同じ成績であれば、紹介のある学生と紹介のない学生がいたら身元がしっかりしている紹介のある学生を入れます。このへんは就職の場合はもっと露骨に行われています。紹介の有無だけでなく、学歴・男女・家柄での区別があります。

このように、人を選別するときは必ず何らかの不平等があります。これは、世の中の要求に応じたものであり、仕方がないのです。

寄付金による合格がある

これは医学部においては現代ではほぼありません。なぜなら、国試の合格率に影響してしまうからです。合格率の低下は文科省からの補助金の減額につながる恐れがあります。もちろん入学してから「寄付をお願いしたい」と言われることはあります。しかし寄付しなかったからといって不利な取り扱いをされることはありません。

上に書いてきたような事項について、「入試要項にはじめからそういうことを記すべき」主張する人もいます。これはこれで卓見かと思います。しかし、たとえば「男子90人、女子10人募集」と書いてあったときに、今度は「女性差別だ」と騒ぐ人が出てくるのではないでしょうか。この辺は大学の考え方次第でしょう。

一つ確実に言えることは、矛盾や不正を無くそうととことんまで追求すると、こんどはその副作用が現れてくるということです。たとえば、わたしたちは現在の日本ではまだまだ犯罪が蔓延していると考えています。しかし、いくら警察官を増やしても、監視カメラを増やしても、完全に犯罪をなくすことは不可能です。逆に警察組織を維持するのにものすごい費用がかかったり、完全監視社会になったりする恐れがあります。問題の対策に完全ということはあり得ません。適当なところで妥協する必要があるのです。日本人はそのようなバランスの取りかたがわりと上手な方です。こういうのが下手なのが中国人やロシア人で、あまりにも貧富の差が激しくなった結果共産主義というおかしなものが生まれたのです。それもすぐにだめになったわけですが。
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